僧房弁閉鎖不全症

僧房弁閉鎖不全症、あまり聞きなれない病気でしょう。

しかし、この病気、小型犬ではとても多い心臓病のひとつです。

今回、この病気を取り上げたのは、そうあなたのためです。

久しぶりの更新なので、いまいち調子が出ないですが、いい機会なので書いてみますね。



心臓とは?

そもそも、心臓とは何をしているところなんでしょう?

血を作るところ?

いえいえ、違います。心臓とはただのポンプです。血を送り出しているだけです。血を作っているのは骨髄で、骨髄で出来た血を全身へ送り、酸素を供給し、肺へ送って二酸化炭素を放出し、再び酸素を含んで心臓から全身へ送られます。

う〜ん・・・絵心がなさ過ぎる・・・

っとまあ、絵はあまり気にしないでください。説明のためにちょいと書いただけなので・・・それにしても大雑把

で、上の絵が心臓です。心臓は4つの部屋に分かれていて肺から左心房→左心室→全身を回って→右心房→右心室→肺へ行って酸素交換→左心房へ戻る、ってな具合に血液は一方通行で通ってます。

血液を送る時、心臓は収縮します。まず、心房がギュッっと縮まり心室は広がります。すると心房の中にある血液は心室へ押し出されます。次に心室がギュッと縮まり心房が広がります。この時、心房と心室の間にある弁がないと、血液は心室から心房へ逆戻りしてしまいます。それを防ぐのが弁の役割。心室が縮んだ時に弁が閉じて逆流を防ぐのです。それで効率良く全身や肺へ血液を送れます。

っとまぁ、簡単に言うとこういう感じ。

心臓の働きはわかりましたか?ただのポンプですが、止まると全身が酸欠になり、あっという間に死に至ります。生まれてから死ぬまで1度も止まる事なく働き続けるえらい臓器なのですね。

 

 


僧房弁閉鎖不全症とは?

さて、心臓の基本的な働きと構造をふまえて、病気の状態です。

僧房弁閉鎖不全症とは・・・

先ほどのいいかげんな心臓の図を思い出してください(もしくはスクロールして上の図をもう1度見てください)。僧房弁というものがありますね。左心房と左心室の間の弁です。この病気は簡単に言うと、この弁が閉まりにくくなったり、閉まらなくなる病気です。

その原因はというと・・・わからないというのが正解か?弁の腱索がどうとかこうとかって言う原因ではなく、どんな食べ物を食べてたからとか、どんな生活してたからとか、って言う原因はわかりません。正確に言うと特に原因はない。あえて原因を言うならば、○○という犬種だから、って感じかな?

そのように言うのは、この病気は主に小型犬の病気です。多いのはシーズー、マルチーズ、キャバリア、ポメラニアン、ヨークシャテリアなどでしょうか。飼われている頭数が多い小型犬で抜けているのはミニチュアダックスですね。ダックスは病院に来る頭数は多いけど、心臓が悪い子ってのは意外と少ない。犬種である程度発生しやすい、しにくいってのがあるのでしょう。

また、小型犬に多く、中型犬、大型犬ではほとんど発生を見ません。中型犬の雑種や柴犬などでたまに見ますが、大型犬では僕は今まで見た事がありません。

で、病態の説明です。

先程も書きましたが、心臓の弁の働きは、血液の逆流を防ぐ事です。弁が閉まりにくくなると、その隙間から血液が逆流します。そうすると、本来流れて行く方向には、本来より少ない血液しか行かなくなり、また、逆に本来流れて来ない方向には、本来より多い血液が貯まります。今回の僧房弁閉鎖不全症では、左心系が逆流を起こすので、全身に血が回りにくくなり、肺に血液が貯まります。これにより、症状が出てきます。

心臓と言うものはえらいもので、そういう風に逆流しても、しばらくはがんばっていつもと同じように血液を送ろうとします。

いつもと同じように働いてても、血液が逆流するため、いつもより少ない量しか全身に行きません。するとどうしましょう?いつもより頑張って働けばいい!と考えるのでしょうか?1回の収縮で送り出す血液の量をいつもより多くしようとしたり(収縮力を上げる)、1分間で収縮する回数を増やしたり(心拍数を上げる)して、いつも以上に頑張ります。

健気な臓器ですね。そうやって頑張ってくれているおかげで、弁が悪くなり、逆流が始まっても、しばらくはなんの症状も出てきません。心臓が頑張っているおかげで、肺に血も貯まらないし、全身へ送る血もいつも通りぐらい送れます。

しかし、心臓も無限に頑張れるわけではありません。そのうち限界を超えてしまいます。また、心臓が頑張ったために、マッチョになるとでも言いましょうか?心臓が全体的に大きくなります。心臓は筋肉の塊なので、いつもより働いていれば、筋肉が増えて当然と言う事です。ま、他にも理由はあるのですが、とりあえず、心臓の左側が大きくなってきます。

そうなれば症状が出始めます。咳をする。運動を嫌うなどですね。


どうやって診断するの?

さて、診断方法です。

上で書いたように、心臓は頑張るので、本当は悪くなっているのに、しばらくは症状が何もない時期があります。咳をしたり呼吸が荒かったりと、症状が出てくればそれで診断する事も可能ですが、もっと早くに見つけれないのか?

それが出来ます。方法は聴診です。聴診器で心臓の音を聞くのです。

お医者さんのイメージを言えば、首から聴診器をぶら下げていますね(そんなイメージ僕だけか??)。その聴診器はなかなかの優れものです。心臓の音だけでなく、肺や気管の呼吸音、腸の動きなどの音まで聞こえます。

で、今回は心臓の音。心臓の音は胸に耳をくっつければある程度聞こえますね。「ドックン、ドックン」って音です。そもそもあの音はなんの音なんでしょう?実はあの音、心臓の弁が閉まる音なのです。

上の図には書かなかったですけど、心臓には房室弁(三尖弁と僧房弁)の他にも大動脈弁と肺動脈弁があります。つまり、心房の出口と心室の出口にそれぞれ左右1つずつ逆流を防ぐ弁があるのです。

心臓は心房が収縮⇒心室が収縮⇒心房が収縮と繰り返しています。左右は同時に収縮しています。ってことは、出口の弁も心房の出口の弁が閉まると、心室出口の弁は開く。心室の出口の弁が閉まると、心房の出口の弁は開く、って具合です。

で、先程の「ドックン」って音ですが、これは二つの音があります。「ドッ」って音と「クン」って音ですね。1音2音って言いますが、どっちがどっちかはどうでもいいです。どちらも弁が閉まる音なのです。普通ならば、きれいに「ドックン」と聞こえますが、どこかの弁が上手く閉まらないと、その弁の隙間を血液が逆流する音が聞こえます。「ドザー」「ドザー」って感じでしょうか?これが心雑音です。

これは、心臓が頑張って症状を出さないうちから聞こえるようになります。早期に発見できれば、やはり治療も早くから始めれるし、また普段からの生活を気をつけることが出来ます(太らせないとかね)

また、聴診の他にも、胸部レントゲン検査や心電図検査、心臓のエコー検査などで総合的に診断をします。聴診で心臓のどこかに異常があることが分かり、レントゲンなどを撮って、他の心臓病と区別するって感じでしょうか。


どんな症状が出るの?

さて、心臓が悪くなるとどうなるでしょうか?

人間の心臓病の場合、狭心症や心筋梗塞が多いみたいなので、一般的なイメージとしては、胸が苦しくなったり突然倒れたりするってのが多いのではないでしょうか?

しかし、犬で多い僧房弁閉鎖不全症では、突然倒れるってのはかなりの末期症状で、それ以前に色んな症状が出てきます。チラホラと書いてましたが、1番分かりやすいのは咳です。喉に何か詰まってるかのような咳をします。飼主さんによっては、なんか喉に引っかかってるみたい、って感じる方も多いです。他には、運動を嫌う(あまり歩かなくなった、疲れやすくなった)、呼吸が荒いなどです。

難しいのは、「運動を嫌う」ってやつですね。この病気、通常年をとってからなるものです。8歳とか以上になってからなるのです(キャバリアは例外で、3歳とかからなる子も多い犬種です)。最初、「年取ったからかな〜?」ってぐらいにしか考えていなかった、って事も結構多いです。そうなれば、なかなか気づかないですね。

シーズーやキャバリアなど、なりやすい犬種の場合は、ワクチンの時やフィラリアのお薬の時など、定期的に聴診をしてもらって、症状が出る前に早めに見つけてもらいましょう。


治療方法は?

さて、最後に治療方法です。

まず、最初に断っておかなければならない事は、この病気は基本的には治りません。「治療=症状を抑える」であって、「治療=弁がちゃんと閉まるようになる」ではありません。

人間の方の医療や獣医でもごく一部では外科手術で弁そのものを治療する事もあるみたいですが、獣医の中ではまだまだ一般的な治療ではありません。基本的にはお薬で内科的に症状を抑えることになります。

さて、そのお薬ですが、主なものを紹介します。

@利尿剤

A血管拡張剤

B強心剤

と、主にはこの3種類のお薬が使われております。名前だけ聞いてもよく分からないでしょう。一つ一つ行って見ましょう。

@利尿剤

利尿剤とはおしっこをいっぱい出すお薬です。なぜ、心臓とおしっこが関係あるの?当然の疑問です。

上の方の説明を思い出してください。弁が閉まらなくなってくると、血液が肺に貯まってきます。これによって、肺水腫と言って、肺に水が貯まってくるようになるのです。最初は肺の血管にいつもより多い血液が貯まるのですが、ある一定の量を超えると、水分が血管から漏れ出てきちゃいます。そうすると、ある意味、軽く溺れているような状態です。上手く酸素と二酸化炭素の交換が出来なくなり、呼吸が苦しくなってきます。

そこで利尿剤の登場です。おしっこをいっぱい出す。おしっことは血液から出来ます。なるべく水分を体の外に出して、うっ血を取る働きがあります。おしっこをいっぱい出す事によって、肺に貯まっていた水がおしっことなって体の外に出て行ってくれるのです。

しかし、気をつけなければならないのは、肺のお水を出すと言っても、おしっこになって出て行くのは肺のお水だけではありません。全身から均等に水分を取って行きます。つまり、使いすぎると体全体が脱水症状を起こします。また、血液の中のイオンも一緒におしっこになって出て行っちゃいますので、イオンバランスが崩れたりする事もあるので注意です。

 

A血管拡張剤

これは名前の通り血管を広げるお薬です。

心臓は、上手く血液を送れなくなると頑張っていつも以上の働きをすることは説明しましたね。いつも以上に働くと、やはり心臓は疲れます。その疲れを取ってあげるお薬です。(注:かなり簡単に書いてあります)

心臓から出て行く血管は、出てくる血液が少なくなると、血圧が下がるのを防ぐために血管を細くしちゃいます。すると、余計に血液が出て行きづらくなり心臓はますます頑張らないといけません。そこでこのお薬の登場です。

心臓から出て行く血管を広げて、心臓が楽に血液を送り出せるようにしてあげます。

たまにテレビドラマなんかで、心臓発作で倒れかけて、「そこの鞄の中に心臓発作の薬が入っているから取ってください」とか言って、それを飲み無事発作は治まった、ってなシーンがあります。あのお薬はニトログリセリンと言う血管拡張剤です。そう、爆弾にもなるお薬ですね。

人間の場合、狭心症の発作に使うみたいです。心臓を動かすための血管(冠状動脈)が何らかの理由で細くなり、心臓を動かすための血液が足りなくなり、発作が起こる。そこで、血管を広げるお薬を飲むと発作が治まるという流れです。ちなみに、あのお薬、正確には「飲む」んじゃないんです。「舌下錠」と言って舌の下に入れて粘膜から直接吸収される薬なんです。だからこそ、あれほどすぐに効くんですね。普通に飲んでたら、胃で消化され腸で吸収され、肝臓を通って・・・と結構遠回りなんです。

 

B強心剤

これも読んで字のごとく、心臓を強めるお薬です。

働きが悪くなった心臓をしっかり収縮させて、なるべく心拍数を少なくさせるお薬です。

しかし、このお薬、もう100年以上前から心臓のお薬のとして使われてきていますが、最近の研究では一時的に症状はよくするが、長期的に見ると死期を早める可能性があるといわれています。

自然と心臓が頑張って働いている所に、更にお薬で働かせるわけです。疲れているところに更に鞭打つと言うような感じになるらしい。そこで、最近では全く逆に心臓を休めるようなお薬を使うようになっているらしい。(ついこないだのセミナーで知った事なので、この辺の詳しい説明は勘弁してください)

 

他にも使われるお薬はありますが、主にはこの3つが主体となって治療して行きます。

くどいようですが、この病気は基本的には治りません。一生上手く付き合って行く必要がある病気です。上のようなお薬を色々組み合わせて、毎日飲んでいると、ほとんどの場合、ちゃんと症状は治まります。病気は治せなくても、犬が楽に暮らして行ける、それが重要なのです。

 


おまけ

僧房弁閉鎖不全症、結構日常的に見るメジャーな病気です。

お薬を飲んでくれれば、多くの場合、良好な生活を送ることが出来ます。

しかし、この「お薬を飲んでくれれば」ってのがみそです。

「お薬を上手く飲ませれない」「お薬をちゃんと飲んでくれない」とよく聞きます。

大体の場合、そういう子は普段からおやつなどをよく貰っていて、普段からドックフードもあまり好きじゃなく残しちゃったりする子が多いです。

食欲旺盛な子は、ご飯に混ぜちゃえば簡単に一緒に食べてくれます。

普段からおやつなどを上げすぎると、こう言う時に苦労する事になります。

なるべくおやつは控えて、(少々お薬が混ざっていても)しっかりフードを食べるように、普段から気をつけましょう。

ちなみに、うちのレディは錠剤のお薬もそのままポリポリ食べます(^_^;)食い意地張りすぎ??

 

 

 

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